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映画の感想記事はどう好意的に解釈しても上記テーマに合わないようにも感じますが、本作『笑いのカイブツ』を観て、働くこと、生きることの難しさについて考える機会を得たので、記事にしてみます。
(今後そういう「人生!」みたいな内容じゃない映画の感想書く時どうすんだ、っていう書き出しですがその時はその時)
タイトルでは短評としていますが、観て考えたことなので厳密には違う気もしますが、その辺はスルーしてください。
ちなみに、大きなネタバレはしないつもりですが多少内容に触れますので、苦手な方は注意です!
見る人によっては鋭く胸を抉られるヒューマンドラマ
映画『笑いのカイブツ』(2024年公開)
監督:滝本憲吾 出演:岡山天音、片岡礼子、松本穂香 ほか
以下、Filmarksさんからあらすじの引用です。
「笑いのみ、他はどうでもえぇ」
https://filmarks.com/movies/98567
笑いに人生を捧げるツチヤタカユキは毎日気が狂うほどにネタを考える日々を過ごしていた。
念願叶ってお笑い劇場の小屋付き作家見習いになるも、愚直で不器用なツチヤは他人には理解されず淘汰されてしまう。
失望していた彼を救ったのはある芸人のラジオ番組だった。
番組にネタや大喜利の回答を送るハガキ職人として再びお笑いに人生をかけていた矢先、「東京に来て一緒にお笑いやろう」と憧れの芸人からラジオ番組を通して声がかかった。
そんなツチヤは東京で必死に馴染もうとするが…。
あらすじを読んだ段階では、「テレビやラジオにネタを投稿する所謂”ハガキ職人”から番組の構成作家になった人の話」と認識していて、実際話の流れはそうでした。
ただ、焦点が当たっていたのは、そういう出世コースに乗っていく主人公の姿ではなく、「笑いの世界」に身を投じれば投じるほど、自分が研ぎ澄ませていった “笑い” だけでのし上がれる世界ではないと気づき消耗していく痛々しい主人公の姿でした。
人を笑わせるネタを作る力があるだけではメシの種にはならず、そのネタを活かす番組、その番組を一緒に作るスタッフ、番組を企画するプロデューサーとうまくやり、お金を生む歯車にならなければ「売れっ子」にはなれない。
ただ、主人公のツチヤはその歯車になること、周りの人間とうまくやることが強烈に苦手なのです。
そのため、憧れた笑いの世界に足を踏み入れられても、ネタの投稿先であった番組制作に携われる立場になっても、苦しみばかりを味わいます。
自身の”好きなこと”が”仕事の一要素になる”ことを頭でも気持ちでも受け止められないと想像を絶する苦しさがある。
そんな様子をこれでもかと見せられるのですが、筆者はかなり感情を揺さぶられました。
主人公ツチヤは”おもろい”をとにかく追求する男です。
「でも売れっ子ってホンマに “おもろい” んか?」
「世渡り上手なやつは “おもろい” んか?」
そんな苦悩と怒りを抱きながら日々を生きるツチヤ。
「好きなことは仕事にするもんじゃない」なんて話をよく聞きますが、その好きなことで世間に認められようとすると、どうしたって仕事として評価される必要があると思います。
好きなことをとことん追求するだけでは評価されない。
評価されるための「仕事」として成立させるためには、その他の多くの要素を受け止め、こなさなければならない。
何か打ち込むものがある人の心に深く刺さり、受け止めるために考えを巡らせる作品だと思います。
考えた結果、その人の心にプラスに作用するのか、マイナスに作用するのかは分かりません。
ただ、“好きなこと”とどういう距離感で付き合ってゆくのか考えるきっかけとしは、かなり大きなものになると思います。
見る人によって印象が大きく変わる作品だとは思いますが、お話のテンポがよく、没入感も高いのでエンタメとしての質は高かったと感じました!映画として観やすくてオススメです!
オススメ度:★★★★☆
キャストのお芝居も素晴らしかったです。
あと、オードリーが元ネタの芸人コンビが出てくるんですが、春日激似で草。声とかほぼ本人。
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