ワーケーションは健康的?実証実験データを基に解説!

ワーケーションは健康的?実証実験データを基に解説!

2020年6月19日~25日にかけて、ワーケーションの実証実験が行われました

実証実験の主な目的は、「ワーケーションの効果・効用に関するエビデンス獲得」です。

実証実験の結果から、ワーケーションが健康に与える効果もデータとして明らかになりました。

ということで今回は、実証実験のエビデンスを基に「ワーケーションが健康に与える効果」についてお話していこうと思います。

目次

話をはじめる前に

今回は以下の記事を参考にさせて頂いております。

実証実験の詳細な内容については以下をご参照ください。

本記事では、実証実験の情報をより深く掘り下げていきます。

ワーケーションと健康

ワーケーションはストレスフリーな働き方なので、健康には良いように感じますよね。

もちろん健康的な側面はありますが、ワーケーションが健康的であることを裏付けるエビデンスはありませんでした

今回行われた実証実験は、ワーケーションが健康に与える効果をデータとして分析できるため非常に有益と言えます。

実証実験の結果が確実に正しいとは言い切れないので、あくまで参考値として判断しましょう。

https://workation-concierge.com/workation/

実証実験について

今回の実証実験は、NTTデータ経営研究所・JTB・日本航空株式会社(JAL)の3社共同で行われました。

監修は、慶應義塾大学の島津明人教授です。

各社役割

各社の役割は以下になります。

会社役割
NTTデータ経営研究所脳科学を基軸とした労働生産性向上コンサルティングの実施。
研究主体。
JTBワーケーションを適用したコンテンツ開発や企業と地域のマッチングを実施。
研究主体。
JAL従業員のワーケーションの推進と地域活性化・ワーケーション商品の開発検討。
研究主体。
日本トランスオーシャン航空従業員のワーケーションの推進と地域活性化・ワーケーション商品の開発検討。
研究協力。

背景

近年、働き方改革や新型コロナの影響により、リモートワークを実施する企業が増加傾向にあります。

しかし、リモートワークのデメリットとして、孤独感が急上昇しているとの報告が上がっています

アメリカの調査になりますが、43%の人が「高孤独」状態と評価されており、抑うつ傾向と高い相関を示していることが明らかになりました。

このような背景のもと、心身ともに改善できる働き方として「ワーケーション」に注目が集まっており、今回実証実験が行われることになりました。

ワーケーションの効果に対する定量的なエビデンスがないのも、今回の実証実験を行った理由の一つです。

実施場所

カヌチャベイリゾート
カヌチャリゾート

今回の実証実験は、株式会社カヌチャベイリゾートが運営する「カヌチャリゾート」で行われました。

社名株式会社 カヌチャベイリゾート(Kanucha Bay Resort Co.,Ltd)
所在地〒905-2263
沖縄県名護市字安部156番地2
開業1997年6月29日
TEL0980-55-8880(代表)
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目的

実証実験の目的は、「ワーケーションの効果・効用に関するエビデンス獲得」です。

あくまでワーケーションの効果を実証するものなので、健康に関する調査を目的としているわけではありません。

参加者

参加者は「男女18名」です。

参加者はそこまで多くないので、この数値をどう判断するかは重要ですね。

スケジュール

ワーケーション実証実験スケジュール
ワーケーション実証実験スケジュール

スケジュールは以下の通りです。

プレワーケーション期間
※2020年6月19日(金)~6月25日(木)
Webアンケートを計2回実施。
ワーケーション期間
※2020年6月26日(金)~6月28日(日)
6月26日(金)を勤務日、6月27日(土)・28日(日)を休暇日とする。
Webアンケートを計11回実施。
ポストワーケーション期間
※2020年6月29日(月)~7月3日(金)
Webアンケートを計2回実施。

Webアンケートは、「各ワーケーション期間中における対象者の状態・行動の把握を目的として、対象者の状態や仕事に対する姿勢などを問うもの」です。

ワーケーション期間中、対象者はウェアラブルデバイス(Fitbit Charge3 HR)を常時装着しています。

実験環境

実験環境
実験環境

執務エリアはWiFi環境が整備されています。

必ずしも執務エリアで業務を行わなければならないわけではなく、宿泊部屋での業務も可能としています。

取得データ

取得データは以下になります。

尺度名説明
Segmentation preference(公私分離志向)生活における仕事とプライベートのメリハリの付け方の好みを問う尺度。
リカバリー経験1 日の仕事が終わった後の時間の過ごし方(リカバリー経験)を問う尺度5。
「コントロール(プライベートの過ごし方を自分で決められる)」「心理的距離(仕事と距離を置ける)」「リラックス(リラックスできる)」「熟達(自分の成長に時間を使える)」の4項目に分かれる。
ワークエンゲイジメント仕事に対する活力、熱意、没頭の程度を問う尺度6。
仕事に関連するポジティブで充実した精神状態が反映され、この指標が高いと従業員個人の生産性や心身の健康状態が高く、またそういった従業員が多い企業は、収益性が高く、離職率・無断欠勤が大幅に少ないことが明らかになっている。
職業性ストレス労働に際して発生するストレスを含む身体的・心理的状態を問う尺度10。
平成27年12月より施行されたストレスチェック制度で使用される「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」の一部。
仕事のパフォーマンス仕事の状況や成果について問う尺度11,12。
WHOが定める国際的な生産性の指標であるWHO-HPQ、並びに新職業性ストレス簡易調査票から「規定された職務遂行」と「創造的な行動」の項目を利用。
組織コミットメント自分の所属する組織に対するコミットメントの強さを問う尺度13。
「継続的(今会社を辞められない)」・「規範的(価値観として転職すべきでない)」・「情動的(会社の中で自分を家族の一員のように感じる)」の3種類に分かれる。
罪悪感ワーケーション中の罪悪感を問う尺度(独自尺度)。
職務満足度仕事の満足度を問う尺度(独自尺度)。
主観的健康感主観的な健康状態を問う尺度(独自尺度) 。
主観的メンタル状態主観的な不安傾向等を問う尺度(独自尺度)。
直近の業務内容(ワーケーション中)ワーケーション中の業務内容を問う設問。
実施内容、結果、実施人数等を聴取(独自尺度)。
直近の自由時間の過ごし方(ワーケーション中)ワーケーション中の直近の自由時間の内容を問う設問。
実施内容、結果、実施人数等を聴取(独自尺度)。
活動量(歩数・その他消費カロリーなど)リストバンド型の活動量計Fitbit Charge3(実験期間中常時着用)により計測。

解析方法は、「反復測定分散分析、および多重比較」を利用しています。

実証実験結果

項目間相関

項目間相関
項目間相互相関

全34項目の相関を表しており、個人内の相関分析の結果を全参加者間で平均化しています。

赤枠はそれぞれ「ワークエンゲージメント」「仕事のパフォーマンス」「心身ストレス」を表しており、青枠は「Segmentation preference(公私分離志向)」「リカバリー経験」を表しています。

上図から、「仕事のパフォーマンス向上」「心身のストレス緩和」に効果があることが分かります。

公私分離志向の向上

公私分離志向
Segmentation preferenceの時系列変化

上図は、ワーケーションの前後で「Segmentation preference(公私分離志向)」がどのように変化したのかを示したものです。

右肩上がりに上昇しているので、ワーケーションを実施することで公私を分離する志向が強まっていることが分かります。

これは意外な結果ですね。ワーケーションのデメリットとして公私混同が挙げられるので非常に興味深い結果です。

情動的組織コミットメントの向上

組織コミットメントの変化
組織コミットメントの時系列変化

情動的コミットメント(青線)がワーケーション期間中にかけて上昇しているのが分かります。

ワーケーションが、会社に対する情動的な愛着や帰属意識を促進していると判断できます。

ただし、継続的・規範的コミットメントに関しては全体を通して下降しているので、総合的に判断しなくてはいけません。

仕事のパフォーマンス向上

仕事のパフォーマンスの変化
仕事のパフォーマンスの時系列変化

ワーケーション期間中、特に初日にかけて、仕事のパフォーマンス向上が見受けられます。

注目すべきなのは、ワーケーション期間を終えた後もグラフが横ばいであることです。

ここから分かることは、「ワーケーションによる仕事のパフォーマンス向上効果は一定期間持続する」ということです。

ストレス軽減

職業性ストレスの時系列変化
職業性ストレス(心身のストレス反応)の時系列変化

ワーケーション期間中に全体的なストレスは軽減されています

また、ストレスの軽減と同時に活気が上昇傾向にあります(紫線)。

ワーケーション期間後にストレス値が少し上がっていることから、持続効果はあまりないようです。

運動量の増加

歩数の時系列変化
歩数の時系列変化

運動量(歩数)がワーケーション期間中に増加しています

今回は単純な歩数計測で、ワーケーション後は数値が元に戻っています。

リモートワークの弊害として運動不足が挙げられるので、ワーケーションを行うことで運動不足の解消が期待できます。

6月24日は「6568歩」でしたが、6月27日(ワーケーション2日目)は「15653歩」で、2.38倍も数値が向上しています。

実証実験まとめ

実証実験の結果をまとめると以下になります。

  • ワーケーション実施中は仕事のパフォーマンスが約20%上がる。
  • 心身のストレス緩和に効果がある(約37%低減)。
  • 公私を分離する志向が強まる。
  • 会社に対する情動的な愛着や帰属意識が促進される。
  • 仕事のパフォーマンス向上効果は一定期間(約5日間)持続する。
  • 運動量(歩数)が増加する(約2倍)。

実証実験について気になる点

今回の実証実験では良い結果ばかりが目につきますが、データが少ないので鵜呑みにしてはいけません。

今回の実証実験で気になった点、今後の課題となり得る点を挙げてみました。

実験対象者の母数が18人と少ない

今回の実証実験は人数が18人と、サンプル数としてはまだまだ少ないです

もちろん実験自体は参考になるのですが、母数が増えた場合に違う結果が出るかもしれません。

実質のワーケーション期間が3日と短い

ワーケーションは長期で行うことが想定されます。

今回の実証実験のワーケーション期間はプレを含めないと3日間しかありません

これが長期になった場合、データに変化はあるのかが気になりました。

ワーケーション期間が長ければ長いほど慣れてくると思うので、ワーケーションの効果が薄れてくるのではないかとも考えられます。

沖縄以外のサンプルがない

今回は沖縄で実施されましたが、沖縄以外でも同じような結果が出るのかが気になります。

単純に比較する対象もありませんし、国内ではなく海外の場合も同じような結果になるのかが少し疑問です。

Webアンケートの詳細な内容が分からない

今回の実証実験ではWebアンケートを実施していますが、アンケート内容がどういったものなのかが分かりません

どういった内容で参加者にアンケートを取ったのかが気になります。

まとめ

今回はワーケーションの実証実験を基に、ワーケーションと健康の関係性について掘り下げました。

データだけを見ると良い結果が多いですが、データ数が多くはないので鵜呑みにはできません。

ただ、ワーケーションが健康に効果がある可能性はかなり高いのではないでしょうか?

ワーケーションは健康的?実証実験データを基に解説!

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この記事を書いた人

株式会社ジェネスティコンサルティングです。

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